Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.057 田中一郎さん

2017/06/23 (金)
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田中一郎さん

田中歯科医院
院長・歯学博士

東京都の多摩市に田中歯科医院を開設された田中一郎さん。現在は歯科クリニックを3つ運営されるなど地元に根差した歯科医院として不動の地位を確立されています。今回は、いくつもの夢を叶えてきたご経験を踏まえ、キャリアで成功する秘訣についてお話しいただきました。

夢を熱く語ると成功する

私は、今から30年ほど前に田中歯科医院を多摩で開業しました。当時の多摩は、まだニュータウンができ始めの頃で山以外に何もない。駅と郵便局とスーパーがあるだけ。家はなく人もいない。友人からは「豚がいても患者さんがいないと失敗するぞ」と言われる始末。実際、友人達が開業先に選んだのは、全員が都内の一等地。でも、自分は天邪鬼な性格。それに都会が苦手で、田舎でのんびりする生活が好き。周囲の声を無視して多摩に決めました。現在、私は多摩で3院を構えていますが、都内で開業した人達は、ほとんどが潰れたか、移転したか、細々と続けているかで拡大させた人はいません。この経験から、成功するには人と違うことをすることが大事だとつくづく思います。

開業当時は、資金が足りなかったので、銀行にお金を借りに行きました。近くに2行あったので、まず一つ目に行ったら門前払い。「支店長を出して」とお願いしても「こんな人のいないところで開業しても返せないでしょ。他を当たって」とのつれない返事。それではと、もう一つの方に行ったところ、今度は支店長が出てきたので「まだ人は少ないけど、この地で夢を持って仕事をしたい!」と熱く語ったら、「心意気が素晴らしい」と言ってくれ融資をしてくれました。

また、開業後、すぐに患者さんが来るとは思えなかったので、ビルのオーナーに家賃交渉をすることに。オーナーに「他の客(テナント)を呼ぶ方法を考えるから安くして」と打診。すると、「方法による」との返事。考えたのが、クリニックだけのフロアーをつくること。歯科の他、内科や外科など7科を同じフロアーに置くというアイデア。今ではクリニックモールがありますが、30年前はそんなものはない。ただ、オーナーは「全部集めたら安くする」と言ってくれたので、学校に募集をかけに行きました。でも、そんな辺鄙な場所に来る人なんて誰もいない。それでも熱く説いて行ったところ、7科すべて集めることができ、日本初のクリニック専用のフロアーができあがりました。

開業当時、確かに多摩には人がいなかった。それに私自身の経験も乏しかった。その状態で「多摩で開業します」と言っても、多くの人は「この人、何考えているんだろう?」と思ったはず。実際、最初は誰からも相手にされませんでした。でも、夢を持ち、自分の想いを熱く、しつこく語り続けたことで、お金も人も集めることができた。周りからは無謀と思われる夢でも、多くの人に伝え続ければ、必ず応援者が出てくる。それが成功につながる。このときの経験から、そう信じています。

関心を持つ、感動する、感謝する

ブリキのおもちゃ博物館の北原照久さんとは親しくさせていただいていますが、学ぶことがとても多いです。北原さんは、「言葉は言霊(ことだま)というように、魂が宿るから、毎日、自分はこうなりたい!これが欲しい!と魂を込めて言い続けるのが大事」と話されています。だから、私も毎日、自分の夢や欲しいものを口に出すようにしています。そうすることで、多くの夢を叶えてきました。このコンクリートの家も、「欲しい!」と言い続けていたら本当に手に入れることができました。

また、「3カン王が大事」とも話されていますが、これこそ成功の秘訣です。3カン王とは関心、感動、感謝の頭文字をとった北原さんの造語。アンテナを張って何事にも関心を持つ。そして、いいものに出会ったら「うわー、すごい」と感動する。そして、「こんないいものをつくってくれてありがとう」と感謝する。実際、北原さんは、いつも「ありがとう」と言っています。先日、北原さんが当院に来てくれました。そのときも「一郎ちゃん、いつもありがとね」と患者さんがいる前で何度も言う。それを受けて私も、「こちらこそ、ありがとうございます」と返す。お互いに「ありがとう」を言い合う。それを見た患者さんにもそれが移るんですね。当院では感謝の輪がドンドン広がっているのを感じています。

あと、北原さんは「その人がいないところで、その人をホメるのも大事」と話されていて、「陰ホメ」と呼んでいます。例えばこんなことがありました。北原さんとゴルフをしていたとき、珍しく「歩くの疲れたよ」と弱音をポロリ。それを聞いて「北原さんは、いつもプラス言葉を話そうと言っているじゃないですか。なのに疲れたなんてカッコ悪いですよ」と言いました。すると、北原さんは翌日からジムに通い、専属トレーナーをつけて筋トレを開始。そして、講演のたびに「あのとき一郎君がカッコ悪いと言ってくれたお蔭でパワーがついた。本当に彼には感謝している」と話されていると聞き、逆に自分もパワーをもらいました。これも陰ホメの力だと思い、自分も心掛けています。

氣を込めて患者さんを元気にする

成功するには人と同じことをやっていてはダメ。開業のときの経験から本当にそう思います。アンテナを立て、電波が入りやすいように360度グルグル回して、素早く動くことが大事。「棚からぼた餅」という言葉がありますよね。例えば、棚から落ちそうなぼた餅があったとき、落ちた瞬間にワーッとみんなと一緒に取りに行っても、つかめません。事前にアチコチ歩き回って、落ちそうなぼた餅を探しておく。そして真下に陣取って落ちるのを待つ。チャンスはそういう人にやってきます。人より先に進んで行動した者がぼた餅を取るのです。あと、人の縁も大事。成功している人やチャンスをもらえそうな人を探して、会いに行く。そして話をして、ヒントをくださいと言える人がチャンスをつかんでいます。

成功している人は、一様に元気、勇気、活気といった「気」を持っていてパワーがあります。気は、昔は「氣」と書いていました。中の字が「米(こめ)」なのは、気を込めるという意味があるから。一方、病気の方は中が「メ」ですが、これは気が滅入るという意味。だから、どんなときでも「氣」と書くようにしています。大きく「氣」と書いて患者さんに「氣を込めました」といって手渡す。すると、元気になってもらえます。逆に、パワーのない先生では患者さんもパワーをもらえません。なので、いつも元気で大きな声を出すようにしています。

一般的に歯医者に来るとき、患者さんは痛い思いや、不快感、病を抱えています。そんなとき、患者さんをお迎えする私たちが笑顔で、元気で、健康でいなければいけません。そうでなければ、患者さんをしっかり治療したり、治療後に悩みを解消して笑顔で帰ってもらうことはできないと考えています。技術面はもちろん、スタッフ一同笑顔で、元気に、健康に患者さんをお迎えし、治療後には笑顔で帰っていただけるような医院の体制を心掛けています。

プロフィール

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