Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.031 田中美和さん

2016/02/29 (月)
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田中美和さん

株式会社Waris
代表取締役

人事や経理、広報などの分野で豊富な経験と知識を持つ女性と優秀な人材を求める企業のフレキシブルな仕事のマッチングを行う株式会社Waris(ワリス)を共同創業した田中さん。「文系総合職のフリーランス化」とのコンセプトが働く女性だけでなく企業にも受け入れられ、創業から3年で登録者数2,200人、顧客企業数780社を超えるなど事業を順調に拡大されています。今回は、ご自身のキャリアや起業、今後の展開などについてお話しいただきました。

働く女性を直接的にサポートしたいと女性3人で起業

私は、大学卒業後、出版社に11年勤務しました。その内の7年は女性向け情報誌「日経ウーマン」の記者と編集者を担当。同誌は、女性のキャリアとライフスタイルがテーマ。仕事、結婚、妊娠、出産、不妊、介護などについて密着取材で働く女性の声をひたすら聞く日々を過ごしました。ときには自宅にお邪魔したり、仕事帰りの22時に電話で話すことも。話を聞いていると、優秀なのに出産やパートナーの転勤等でキャリアをあきらめてしまう女性があまりに多いことがわかりました。

そこで感じたのは、「日本では、まだまだ女性が年齢を重ねながら仕事を継続するのが難しい」ということでした。仕事と家庭の両立に悩む女性の姿を見る内に、「なんとかこの問題を解決できないものか?記者としてメッセージを伝えることも大事だけど、より直接的にサポートできないか?」と考えるようになりました。そこで、在職中にキャリアカウンセラーの資格をとったりもしました。

その頃、東日本大震災があり、自分の職業観や人生観が大きく変わりました。「いつ人生が終わるかわからない。やりたいことをやりたい内にやろう」と、2012年に退職してフリーランスのライターとキャリアカウンセラーとして働き始めました。活動をしながら、知人に「女性のキャリアをサポートする仕事をしたい」と話していたら、「同じことを考えている人がいるよ」と2人の女性を紹介されました。それが、現在、共同で代表を務めている米倉史夏と河京子だったんです。話をしていく内に意気投合し、「女性のキャリアを支援する会社をつくろう」と3人で起業することにしました。

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どのようなサービスにするかは、3人で何度も話し合いました。その結果、「働き方にもっと柔軟性を持たせたい。経験を積んだ女性が時間や場所に関係なく、能力を活かせる働き方の選択肢を増やしたい」との想いで一致。そこで、自分らしくイキイキと働き続けたい女性たちと優秀な人材を活用したい企業の人材マッチングをする株式会社Waris(ワリス)を2013年に立ち上げました。

Warisでは、育児や介護などの関係でフルタイム勤務は難しいけど、「週3日」「1日5時間」「在宅も交えて」など、質を落とさずに時間のボリュームを絞って働きたいという女性たちに、フレキシブルなお仕事を紹介しています。ご登録者の中には、フリーランスとして活躍中の方も多いですね。現在、登録者数は2,200名で、平均年齢は38歳。その内、大卒が85%、院卒が12%。人事や経理、広報や企画、マーケティングなどの文系総合職の部門で10〜15年の経験がある女性を中心にご利用いただいています。

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人のご縁を大切にしながら事業を軌道に乗せる

起業当初は、個人の登録者数もゼロ、人材を受け入れる企業側もゼロからのスタートでした。「どのようにして集めるか?」個人については、まず創業者3人の知人に声をかけて集めていきました。そして、そのお友達を紹介してもらい、更にそのお友達という風に泥臭く行動していきました。幸い反応は良く、「そういうサービスがあったら是非やりたい!」「登録したい!」と言う方が思ったよりも多く、手応えを感じました。まずは、この方法で100人ほどの登録者を集めました。実は、今でも新規登録者の内、このようなクチコミの割合が3割くらいで最も多いんです。

一方、企業側の獲得についても、知り合いの経営者や人事担当者に「こういうサービスはどうですか?」と、ヒアリングをすることから始めました。

特に上場直前のベンチャーは、大量かつ即戦力の人材が必要なのに採用が追いつかないので、「優秀な人材が欲しいのに採用できない。時間が短くてもいいからスキルの高い人が欲しい」とのことでした。当初は、このようなベンチャーや中小企業を中心に30〜40社は知り合いの企業から集め、その企業から紹介をしていただくという形で増やしていき、現在は780社にまでなりました。最近は、大手企業でも人材不足ですが、今でも7割はベンチャーや中小企業にご利用いただいています。

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それ以外では、ベンチャー出展のイベントやセミナー、あるいは交流会などに積極的に参加し、そこで知り合った企業にご案内するといった方法を用いながら、企業数を徐々に増やしていきました。今でも、そういったイベントに参加します。記者時代から取材先開拓の目的もあって、セミナーや交流会にはよく足を運んできました。人のご縁で、取材先をご紹介いただくことも少なくありませんでした。今でも、多くの方のご紹介で事業を拡大させることができていますので、人のご縁をとても大切にしています。

そもそも創業メンバーの2人とも人の紹介で知り合ったんです。たまたま大学は同じだったんですが、学年が違うので接点はありませんでした。私がフリーランス時代に、ブログやフェイスブックで自分の想いを発信していたら、「同じことを考えている人がいるよ」と紹介してくれたんです。ある経営者から、「叶うという字は、口に十と書くように、想いを10回も20回も口にしたら叶うよ」と言われましたが、本当にその通りだと思います。事業をするには仲間が必要なので、特に経営者は自分の想いやビジョンを口に出すことが大事だと感じています。

起業当初は、米倉や私自身が顧客企業や大学から、ライティングやキャリアカウンセリングの仕事を請け負い会社の売上を立てていました。ただ、いろいろなご縁に恵まれたことで、1年くらいで事業を軌道に乗せることができました。当初3名でスタートしましたが、15名の方が新しくWarisに入ってきました。これからは採用した人材の育成とチームづくりが新たなチャレンジだと考えています。

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誰もが自分の能力を活かしてイキイキと働ける社会をつくる

Warisには、アフリカのソマリアの言葉で「砂漠に咲く花」の意味があります。砂漠のように環境変化の激しい現代にあって、一人一人が人生の様々なステージにおいて自分らしく私らしく「能力」という「花」を咲かせて生きていける社会を創りたい。そう願って社名をWarisとしました。

私たちが目指す世界は、どんなに環境が変化しても、誰もが自分の能力を生かしてイキイキと働き続けられる社会です。そして、それを実現させるために、Warisでは、一人一人が思い描くキャリアビジョンに沿って必要な経験を選択し、より積極的に自らのキャリアをデザインできるようにします。同時に、自由度が高く、柔軟なワークスタイルを実現し、誰もがやりがいを持って働き続けることを可能にしたいと考えています。

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現在の登録者は女性がメインですが、男性にも広げていきたい。また、エリアも現在の首都圏から、地方や海外へも展開していきたいと思っています。実は、仕事とは別に、フィリピンやカンボジアの孤児をサポートするボランティア活動を10年ほど続けています。大学生の頃から留学生と接することが多く、生まれた環境に関係なく、自分の能力を活かした生き方や働き方ができることを支援したいと思っていたこともあります。友人の紹介により、この活動を始めたんですが、子供たちと触れ合い、「ありがとう」と感謝されたり、子供たちの笑顔に接するとエネルギーをもらえます。それを社会に還元していきたいです。

Warisの事業を通して、みんながイキイキと働き、自分らしく輝ける社会を実現させていきたいと思っています。

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プロフィール

1978年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。特に働く女性向け情報誌「日経ウーマン」の企画・取材・編集・執筆に携わる。インタビューや、アンケート分析を通じて接してきた女性の声はのべ3万人以上。2009年に米国CCE,Inc.認定GCDF-Japan キャリアカウンセラーの資格を取得。女性が自分らしく前向きに働き続けるためのサポートを行うべく2012年退職。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て、2013年株式会社Waris設立(http://waris.co.jp)。第3回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション「優秀賞」受賞。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。

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