Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.017 喜納信也さん

2015/12/19 (土)
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喜納信也さん

株式会社ミナカラ
代表取締役薬剤師・最高経営責任者

医療情報をインターネットで提供するサービスを展開する株式会社ミナカラを創業した喜納(きな)さん。経済産業省の新規創出支援事業に採択されたり、グロービス経営大学院のビジネスコンテストであるGVCでは大賞を受賞するなど医療業界における画期的なビジネスモデルが各界で注目を集めています。今回は、起業に至る経緯やMBA時代のことについてお聞きしました。

目の前のことに集中する

私は大学では薬学部に入りました。ただ、在学中にベンチャー企業で働き、新しいものを生み出す楽しさを知ったことから卒業後は薬剤師ではなく、ベンチャーへの就職を考えました。でも、周りの学生でそんな道を選択する人はいません。「この先自分はどうすればいいんだろう?」「ベンチャーに入ったらどうなるんだろう?」と先の見えない不安から一時、精神的にかなり追い込まれたことがあります。

あれこれ悩んだ末、「将来どうなるかわからないことに悩むのは精神的にも、時間的にも意味がない」と思うようになりました。そして、「何事も実際にやってみないとわからない。やってわかったことがあれば、それを元に修正してばいい」と割り切るようになりました。それ以来、悩むことがほとんどなくなりました。

新卒では、企業向けアプリケーションを開発販売するメーカーに入社。すぐに、ある大手企業のプロジェクトを担当することになりました。当時、企業が急成長する中で人材不足な状況にあり、新人の私も一人でお客様のところへ行くことになりました。ただ、自分の力不足もありクレームをひたすら聞きながら悪戦苦闘する。そんなサンドバック状態が半年ほど続きました。

喜納②

加えて、お客様へのプレゼンも私がやることになりました。それも相手が求めるフォーマットできっちり説明しなくてはいけません。きつかったですが、ここでの経験で随分と鍛えられました。当時は、急成長していて案件が増えている中、社員は少ない状況でした。一人一人の負担がとても大きかったです。

ただ、人がいなかったので、かなり幅広く仕事を任せてもらえました。仕事的には厳しかったですが、このときが一番成長したような気がします。その後、会社が大きく成長したことで人が大勢入ってくるようになりました。その分、一人一人への負荷が減るとともに一人一人の成長の角度も上がりにくくなるものだと感じました。社会人の初期に、自分の背丈を超えた激しい環境に出会えて悪戦苦闘できたことは自分の成長にもつながり幸運でした。また、いかに成長できる環境を作るかという、自分の社会人としての価値観を形成したと思います。

18歳のとき薬剤師になると決め、薬学部に進学しました。でも、学生時代にいろいろな経験をして新たな気づきがあり、薬剤師ではなくベンチャーに入りました。ベンチャーに入って初めて、どういう世界かがわかり、また新たな気づきがあり、自分の中で思考の変化がありました。なので、常に自分自身の頭の中をアップデートしていくことが重要だと思っています。18歳のときの考えが永遠に続くわけではありませんので。

その意味では、とにかく目の前のことに集中することを心掛けています。自分が「こうかな?」と思ったことにまず突っ込んでみる。そして、そのことに集中して取り組む。すると、新たな気づきが得られる。それに成果も出せる。そうすれば次のステージに進むことができる。この流れを大事にしています。

喜納③

空気を吸うようにインプットする

入社一年目から「一流のビジネスパーソンになろう!」と片っ端からビジネス書を読んでいました。本を読むと「仕事っておもしろいな」と思えましたし、いろいろなことを吸収できます。今でも「空気を吸うように、ごくごく自然に本を読み、インプットをしていきたい」そのように思っているので、なるべく本を読むようにしています。

薬学部出身で医療への興味はあったことから、会社に勤めながら土日に薬剤師の仕事をしていたことがあります。でも、会社から「副業はダメ」と言われ、土日にやることがなくなりました。ちょうどグロービスの堀義人代表の本を読んで刺激を受けたことから、「空いた土日に経営を学ぼう」と27歳のときグロービス経営大学院(MBA)に通うことにしました。

グロービスに学びに来ている方は30代、40代が中心でした。もともと負けず嫌いの性格なので、「年上の人たちにも負けたくない。どうやったらいいアウトプットを出せたり、ディスカッションで負けないのか?」ということをひたすら考えていました。当時は会社に勤めていたので深夜12時ごろまで働く。その後、午前4時頃まで勉強。少し寝て会社に行くという生活を2年間続けました。

喜納④

グロービスでは、「経営を学ぶ」「人脈をつくる」「キャリアを描く」という3点について誰よりも吸収したいと思っていました。その中で特に人脈については、自らカンファレンスを開催したり、「起業家クラブ」や「医療クラブ」をつくりました。そこで、大企業の部長・課長クラスとのつながりができ、ネットワークが広がりました。これは、起業した今でもすごく役に立っています。

あと、今でも週に一回は「一人合宿」と称してグロービスに行き、思考の整理をしています。ライブラリーにこもり、事業のことを考える時間を週10時間くらいは設けるようにしています。同じ場所で考えていると行き詰ったりしますので、場所や雰囲気を変える意味でグロービスに行っています。また、そこには昔からの仲間がいます。彼らとディスカッションすることで新たな気づきも得られるので、これからも続けていくつもりです。

喜納⑤

迷っているなら一歩踏み出してみる

薬剤師をしていたとき二つのことに気づきました。一つは、薬局のオペレーションが非効率であること。もう一つは、医療業界自体が自分が生まれてからほとんど変わっていないことです。そのとき、「今よりもっともっと改善できるはず」と医療業界を変えるサービスを立ち上げたいと考えるようになりました。

また、Webサービスが進化を続けているにも関わらず医療の世界でネットの良さが活かされていないことにも気づきました。「インターネットの医療サービスがほとんどないのは、医療の世界は専門的すぎて難しい、ハードルが高いとの理由であきらめてしまっている人が多いからではないか。だったら自分たちでやってみよう」と思い、インターネットで医療情報を提供する株式会社ミナカラ(旧株式会社ヘルスケアスタイルラボラトリー)を立ち上げることにしました。

ミナカラでは、医療や健康にまつわる日常生活をよりよく過ごすための医療情報や機能を主にインターネットで提供するサービスを展開しています。また、医療情報だけで解決できないときは医療のプロに相談できますので、いつでもどこでも場所や時間に関係なく医療のプロに相談することができます。ちなみに、ミナカラ(minacolor)という社名には、「十人十色(color)のみんなのカラダ(ミナカラ)を支え抜きたい」という思いを込めています。

最近は医療業界も変革が進み、便利な医療が増えつつあります。でも、まだ多くの方にとって一般的な治療方法は「我慢する」「寝る」になっていると思います。私達は、このヘルスケアの分野が、もっと身近で感動的なものになるような活動をしていきたいと思っています。また、医療従事者の方々にも新たな活躍の場をつくっていきたい。ヘルスケアが本来もつチカラを存分に発揮できるようにしてきたい。そんな想いを胸に活動を続けています。

喜納⑥

私は、迷うくらいなら踏み出した方がいいと思っています。境界線を踏み越え、コミットしてやらないと次の景色が見えないからです。もし、今のビジネスを会社に勤めながら始めていたら、仲間や資金を集めることはできなかったと思います。本気度が相手に伝わらないからです。

飛び越えるのは確かに恐いものです。つらいこともたくさん経験します。ビジネスプランを話しても、「そんなプランでは全然ダメ!」と言われることも数多くあります。でも、それ以上に「こういう風にしたら良くなるんじゃない」「応援するよ」と助言やサポートをしれくれる人が出てきます。

もちろん闇雲に踏み出すのがいいわけではありません。「80%の確度があるなら踏み出そう」「いや50%でも一度やってみよう」この度合いは人によって違います。大事なことは自分の納得感だと思います。それがあれば仮に失敗しても意外と平気でいられるもの。この辺は冷静に考えるべきです。ちなみに私は30%くらいの確度があるなら、まずやります。そして、目の前のことに集中して取り組む。そして結果が思わしくなければドンドン修正する。これが私のスタイルです。

喜納⑦

プロフィール

1983年生まれ。2007年北里大学薬学部卒業、薬剤師。2013年グロービス経営大学院経営研究科(MBA)修了。都内調剤薬局薬剤師、漢方薬局薬剤師としての活動の他、ERPパッケージメーカーにてコンサルティング部門マネジャー、コンタクトセンターの立ち上げ&マネジメント、アカウントマネジャー、製品評価・カスタマーサービス部門のマネジャー等に従事。2013年株式会社ヘルスケアスタイルラボラトリー(現株式会社ミナカラ)を設立し、代表取締役に就任。ネット医療サービス「ミナカラ」、おうちに薬がやってくる「おくすり宅配」の立ち上げの他、創業以降の資金調達、人材採用、法務対応等を主導している。

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