Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.007 松林秀貴さん

2015/08/28 (金)
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松林秀貴さん

サントリー食品インターナショナル株式会社
食品事業本部
商品開発部
開発主幹

サントリー食品インターナショナルで現在、トクホ飲料(特定保健飲料)の商品開発を担当されている松林さん。過去には「DAKARA(ダカラ)」など誰もが知っているヒット商品の開発に携わった経験をお持ちです。今回はシンガポールに赴任されたときの苦労話やMOT(技術経営大学院)での学びがどのように仕事に役立っているかについてお話しいただきました。

初めての海外赴任でノイローゼになる

私は2009年から4年半シンガポールの現地グループ会社(Cerebos Pacific Ltd)に出向しました。シンガポールにはそれまでに出張で何度か訪れたことがあり、赴任するまでは「得意ではないけど英語だからなんとかなるだろう」と楽観視していました。しかし、すぐに「出張」と「現地勤務」には雲泥の差があることがわかりました。

現地勤務では、自分の専門外のことを含め全ての問題を対応しなければならない。細かいことや些細な課題も例外ではない。それができないと、とんでもないことになるからです。しかし、入ってくる情報は洪水のように押し寄せてくる。しかも会話はすべて英語。

日本では「人と人とが直接交わることで何かが生まれる。積極的に人に会うべき」という持論でいました。でも、人に会うことが苦痛で、人と話すとお腹も痛くなり、トイレに逃げることが数え切れないほどありました。

松林②

 

乗り越えるきっかけはビジネススクールでの経験

完全に自分を見失い、ノイローゼになりかけていたときに救ってくれたのは「早稲田大学ビジネススクール(WBS)」での経験でした。私は、WBSでは遠藤功教授の授業に最も感銘を受けました。著書の「現場力を鍛える」は擦り切れるほど読み、シンガポールにも持参していました。

ノイローゼになりかけていた頃、この擦り切れた本を見たとき、「そういえばWBSでこんな指導を受けたっけ」とそのときの経験が走馬灯のように頭を駆け巡りました。「寺本先生の授業では、法木先生の授業では、杉浦先生の授業では…」といったことを一つ一つ思い返し、授業で使用した教科書などを読み返しました。

その中でも特に寺本先生や法木先生の授業でよく用いられた「フレームワーク」は参考になりました。洪水のように流れてくる情報に対し、「どのように整理し、考え、結論を導き出すのか」。WBSでの学びをきっかけに新天地での仕事を切り開いていくことができたのです。そうなると仕事が楽しくなり、結果も伴ってきました。

ちなみに、遠藤先生が出張でシンガポールを訪問された際、激励に会社を訪ねてきてくれました。激励に感謝していますし、何よりノイローゼの状態から救っていただいたのも先生の著書がきっかけです。遠藤先生には感謝の言葉もありません。

松林③

 

海外勤務で大事な3つのこと

このような経験から得た教訓として、海外勤務で大事なことは3つだと思っています。

一つは、「ビジネススキル・能力(①)」です。海外では「ノミニュケーション」や「調整」はあまりなく、理路整然と業務を裁く力が要求されます。国籍も年齢も関係ありません。そのようなスタイルで仕事をするには、世界共通のビジネススキルを会得することが必要です。その方法は色々ありますが、ビジネススクールで体系的に学ぶのが良いと思います。また、言葉や環境が全く違う海外で仕事をするわけですから、高い専門性も当然必要になります。

二つ目は、「文化適応力(②)」です。「こんなものも食べられる」「あんなところにも行ける」といった適応力が強い人ほど海外勤務者に向いていると思います。残念ながら私はこの適応力が弱いために苦しみました…。

三つ目は、「英語力(③)」です。やはりこれも必要かと思います。

ただ、この3つにも軽重があります。重要度でいえば、経験上、①70%、②25%、③5%です。①があれば、説明する内容を絵に書いたり、手書きのフレームに落とし込んだりすることで、片言の言葉で交渉しても何とかなります。なので①が最も重要です。それに英語力も①があれば切磋琢磨している内に身に付くものです。

よく「グローバル化が進んでいるので英語が大事」と耳にしますが、それは違うと思います。グローバル化が進んでいるからこそ、①に力を入れるべきだと思います。

松林④

 

MOTのメリットは「勉強の楽しさを知ったこと」と「戦友ができたこと」

私はWBSではMOTコースを選びました。MOTで得たことは二つあります。

一つは、勉強の楽しさを知ったこと。「こんな情報のとり方や見方があるのか」「こういう風に考えて仕事に取り組むのか」ということを様々なケースを基に勉強しました。学べば学ぶほど、知れば知るほど楽しくなってきました。WBSの門を叩いたのは2005年で既に10年が経過しています。でも、そのときに学ぶ楽しさに気付いて行動したことが、今でも習慣化しています。WBSは私に習慣化のきかっけを与えてくれました。とても感謝しています。

もう一つは、戦友ができたこと。WBSは正直キツイです。中身の濃い授業と本当に倒れるくらいの課題が課されます。しかし、この苦しい過程を経ることで、クラス内で不思議と団結感が生じます。「苦しい部活を経験した仲間の方が苦しみを分かち合えた分だけつながりが深い」。それに近い感覚かもしれません。2005年に入ったWBSの同期メンバーとは今も楽しく交流をしています。

松林⑤

 

夢は南国で暮らすこと

常夏のシンガポールで4年半生活しました。「年中夏というのはこんなにも快適なのか」と私は一発で気に入りました。夢は南国でゆっくり暮らすことですね。松林⑥

 

プロフィール

1997年東京大学農学生命科学研究科卒業。1999年同大学院修了後、サントリー株式会社に入社。商品開発研究所清涼飲料グループに配属。主な開発商品にライフパートナーDAKARA、Gokuri、カプセラなどがある。2006年早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程(MOT)修了。2009年東南アジアで健康食品販売を実施しているグループ会社であるCerebos Pacific Ltdに出向。開発部長として健康食品開発に従事。2013年より現職。

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