Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.004 小出浩平さん

2015/08/24 (月)
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小出浩平さん

ワタミファーム&エナジー株式会社
代表取締役社長

ワタミファーム&エナジーの社長として、オーガニック野菜や風力エネルギーなど自然の要素をふんだんに取り入れたビジネスを展開されている小出さん。NPO法人で地域コミュニティの問題解決にも取り組まれるなど一貫して社会性の強い(ソーシャルな)活動をされています。今回は、新事業の立ち上げ時やMBAで猛烈に勉強したこと、将来の展望などについてお話しいただきました。

19回連続で役員会に企画書を提出して新事業を立ち上げる

私は大学卒業後、戸田建設、ミスミを経てワタミに入りました。入社してすぐ、「風力ビジネスをやりたい」と思い、事業プランを考えて企画書を書き、役員会に提出しました。東日本大震災の前のことです。まだまだ電力への関心は低く、新電力(PPS)といっても「何それ?」と言われたほどでした。

また、固定価格買取制度(FIT)も導入されていなかったので、「採算が合わない」と役員会で猛反対にあいました。ただ、「自然エネルギーへシフトしない限り、地球の未来はない」との想いもあり、役員会があるたびに企画書を修正し、提出を続けました。提出すること19回、ようやく風力ビジネスの立ち上げが正式に決議されました。

その後、建設予定地である秋田県にかほ市に役員と実際の現場を見に行く日も確定。「これでようやく努力が報われる」。その矢先に震災が起こりました。見学予定日の2日前のことです。

こうなると、「風力なんて言っている場合じゃない」と一旦、見送りとなりました。ただ、「一緒にやろう!」と言ってくれた他の企業の想いを震災を理由に無駄にしたくなかった。そこで、会社に掛け合いました。実は、そのときからカバンに辞表を入れています。「建設までこぎつけられなかったら、他の企業に申し訳が立たないので責任をとる」。そんな想いでいました。その後、何とか建設することができ、紆余曲折の末、風力ビジネスがスタートしました。

そのとき、「これをやるべき」と真心を持って想ったことは、それが義に沿っているなら、いつか神風が吹いてくれる。そんなことを思いました。ちなみに、「あきらめない。あきらめない。あきらめない。あきらめなければ道は拓ける」。これは私の座右の銘です。

小出②

 

MBAで「真理を追究する習慣」を身に付ける

私は37歳のときに企業派遣で早稲田大学ビジネススクール(MBA)に入学しました。在学中はそれこそ朝から晩まで勉強していました。例えば、図書館には私の指定席があったほど。朝8時半から夜8時まで、授業に出る以外はずっとその席で勉強していたからです。

また、当時はコンタクトレンズを着用していましたがメガネに変えました。着ける時間がもったいなかったからです。それくらい時間を惜しんで勉強していました。

そして、MBAとは関係のない授業にも出て単位をとりました。そのお蔭で、経営だけでなく、幅広い知識を得ることができ、知的関心が一層深まりました。(小出さんはこれらの活動により早稲田MBAで日本人で初めて総代に選ばれています!)

それ以来、「真理を追究する姿勢」、「本質とは何かを考える習慣」が身に付きました。これは今の仕事にも大いに役立っていて私の生涯の宝です。

また、MBAには同じような考えの仲間がいて、彼らと出会い、話し、刺激を受けることで更に知的関心が深まりました。ちなみに、MBAで出会った人と意気投合し、10年ほど前に「サスティナブル・コミュニティ研究所」というNPO法人を立ち上げました。ここでは、「まちの課題」を見つけ、それぞれの状況に合わせて様々なツールを用いて課題解決をすることをしています。このような出会いもMBAで得た貴重な財産です。

小出③

 

時間軸を長くとらえ、未来の子供たちのためになることをやる

マズローの有名な欲求5段階説は、実は6段目があったと聞きます。「自己実現」の上に「自己超越」があったというのです。それは、例えば「あなたがいてくれて本当に良かった」と言われるような「他人に尽くすことで得られる喜び」です。私自身は、まだその域に達していませんが、心掛けていきたいと思っています。

1年や2年でやろうと考えると難しいですが、10年、20年、30年と時間軸を長くとり、未来の子供たちのためになることをやっていければと思っています。「自分のため」ではなく「子供たちのため」と思うとエネルギーも湧いてきます。そして、未来の子供たちから「あの人がいてくれて良かった」と言ってもらえれば本望です。

その意味で、今はオーガニック野菜等に注力したファーム(農業)と、風力など自然エネルギーを主力にしたエナジー(電力)を扱う会社の代表として、出来る限りのことをしていきます。日本は、残念ながらエネルギー自給率は5%ほど、食料自給率も40%に満たないなど、ともに先進国の中では最低レベルにあります。この二つを高めていかない限り、「日本に未来はない」と真剣に考えています。

私は小さい頃から父親に「人の価値は、他人にどれだけ尽くしたかで決まる」と言われ続けてきました。そして、それを体現していた父の姿を見て育ってきました。「今度は自分が子供たちに伝えていく番」。そんな想いを胸に仕事に取り組んでいます。

小出④

 

プロフィール

1989年中央大学大学院理工学研究科博士課程前期課程修了後、戸田建設に入社。主にバイオクリーンルームのスペシャリストとして製薬工場のエンジニアリング業務に従事。2003年早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(MBA)修了後、同社経営企画部にて事業戦略やコーポレート・カルチャー変革等に取り組む。2006年ミスミに入社、事業統括ディレクターとして中小企業「ものづくり拠点」プロジェクトを担当、並行してソシオエンジン・アソシエイツにてソーシャルベンチャー企業の支援に携わる。2009年ワタミに入社、環境責任者として環境負荷削減事業、風力・太陽光発電等の再生可能エネルギー事業、森再生事業などに従事。2014年より現職。2001年より「“持続可能な地域コミュニティ”を子供たちにバトンタッチ」をミッションにNPOサスティナブル・コミュニティ研究所の主任研究員として全国各地の支援にも取り組む。

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