Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.002 馬場保仁さん

2015/08/09 (日)
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馬場保仁さん

株式会社ディー・エヌ・エー
Japanリージョンゲーム事業本部プロデューサー兼
ヒューマンリソース本部ヒューマンリソース統括部
ゲーム人材採用担当

ゲーム業界において開発プロデューサー・ディレクターとして数々のヒット商品をつくり出してきた馬場さん。現在はDeNAで主にスマホ向けのゲーム開発に携わる一方、ゲーム人材の採用・育成にも取り組まれるなど活躍の範囲を広げています。今回は開発リーダーとして意識されていること、趣味、将来の夢についてお話しいただきました。

リーダーとして大切にしていることは「コア」を固め、わかるように「伝える」こと

私は大学院を卒業してから20年近くゲーム業界に身を置いています。現在は開発プロデューサーとして何十人ものクリエイターと共にゲームづくりをしていますが、リーダーとして大切にしていることは「コア」をしっかり固めること。

コアとは、まずビジョンであり理念です。「何を大事にしているのか?」「どこに向かっているのか?」これを示し、共有することではじめてチームをまとめることができるからです。

そして、そのコアに基づいた上でのコンセプトづくり。コンセプトには、いろいろな捉え方がありますが、今は「このゲームを触ったら、どのようなユーザー感情が湧くのか?」と定義しています。

単に「おもしろい」と言うと、ゲームっておもしろくなきゃいけないので、それは大前提なんです(笑)。なので、我々作り手は、「おもしろい」を分解してもう1~2段階メタなレベルで考えなくえてはいけないんです。その「おもしろい」を解析する一つの切り口が、今は「与えるユーザー感情」である、ということですね。なぜ、「今」なのか?は、ゲームは変化が激しいので定義や捉え方も、うつろいでいくと思うからです。

例えば、ホラー系のゲームの場合、「恐い、恐いが続き、その後に解放される=カタルシスが得られる、そのときの解放感がたまらない」など「どう感情が与えられるのか?」を詰めてコンセプトを決めていきます。感情は、点ではなく上記例のようにコンテクストであることも多いです。

また、この過程を何度も何度も踏むことで多くの人に商品コンセプトを正しく伝えることもできます。コンセプトを「頭でわかっている」レベルでは周りは動かないし、勝手な解釈をされることもあります。するとチームメンバーがバラバラな方向に走り出してしまいます。逆に「腹落ち感」があると正確に動けるものです。

その意味では、リーダーは「伝える」というより「伝わる」ような言い方をすることが大前提です。聞き手が受け入れられる、受け止められるようなやりとりを工夫・気遣いすることが大事だと思っています。

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趣味の乗馬と宝塚観劇から仕事のヒントを得る

現実にモチーフのあるゲームのコンセプトを固めるときは、必ず関連するテーマの本を最低10冊は読むことから始めます。これは所詮は自身における通過儀礼みたいなものなんですが、そもそも、アイデアは溢れるくらいのインプットがないと、良いアウトプットを生みだすことはできないからです。本は大量の情報がまとまってあるので、ネットの情報よりも重宝しています。

また、私は馬に乗るのが趣味なのですが、そこから仕事に活かせることもあります。乗馬では「馬とのコミュニケーション」が欠かせません。でも、彼らは言葉を話せません。脚での指示や鞭での確認がありますが、ただただ鞭打てばいいというわけでもありません。馬も生き物で、当然、その日の体調や感情はあるので、その状態を感じ取り、適切に指示をすれば通じるものもあります。それをいかに感じ取れるか?馬と接することで「伝える」「感じる」「気遣い」のきっかけを得ることも、ままあります。

あと、最近、宝塚歌劇にはまっています。月に4~5回は観に行くようになりました。100年の積み重ねでできた組織構成や舞台の完成度はスゴイの一言に尽きますし、エンタテインメントの極致であると思いますし、純粋に楽しんでいますが、ゲームづくりの参考にもしています。ちなみに、推しは、人となりが素晴らしい、星組トップスターの北翔海莉さんと、月組の綾月せりさんです!

乗馬③

有望な若手がゲーム業界に入り、活躍できる仕組みをつくることが自分の使命

現在はゲームづくりに加えて、ゲーム人材の採用と育成の仕事もしています。長らくゲーム業界に関わり、様々な恩恵を得てきた一人として、もっとゲーム業界を盛り上げる取組みをすることで、恩返しをしていきたいと思っています。

ゲーム業界は、エンタメ系の中で千人、万人単位の人を雇える数少ない業界です。また、サラリーマンとしても活躍できる唯一の業界ともいえます。ただ、最近はゲーム会社からも「若手の人材が足りない」という声が聞こえてきます。その一方で大学や専門学校でゲーム業界を志す人は決して減ってはいません。なのに、うまくマッチングできないからか、育成がうまくいってないからか、人手不足は叫ばれ続けています。

HEAT渋谷④

「この現状を打開していきたい!」その一つの取組みとして、「HEAT」というイベントを始めました。これは、数多くのゲーム会社や大学・専門学校を一堂に集め、合同で説明会を開催するというものです。ゲーム会社の少ない地域の学生さんたちの就活コストの負担を軽減することで「出会いを増やしたい!」という想いから発案して、実施しています。

皆さんのご協力があってなんとか成り立ち始めています。各社・各校がブースを設けて個別の説明会を開いたり、各社のデザイナーの作品を展示したり、面接や面談も実施しています。このような活動を通して、有望な若手がどんどんゲーム業界に入り、活躍する。そうなれば企業も学校も学生もみんながハッピーになれる。そんな将来を夢見ています。

これまでは、ある意味、個社の目線で仕事をしてきました。これからは業界全体を視野に入れ、これまでの経験を伝えていく。そしてバトンタッチができる若手を育成していく。これが私のこれからの「使命」だと考えています。

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プロフィール

1997年慶應義塾大学院政策・メディア研究科修了。修士(政策・メディア)。1997年セガ・エンタープライゼス(現セガゲームス)入社。家庭用ゲームにおいて、数々のヒット作に携わる。2012年ディー・エヌ・エーに転職。スマホアプリの開発プロデューサーに従事すると同時に、人事として中途採用、新卒採用を問わずゲーム人材の採用に奔走する。「HEAT」「座・芸夢」といったイベントを運営している。著書に「ゲームの教科書」(共著、ちくまプリマー新書)がある。

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