Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.001 東出浩教さん

2015/08/02 (日)
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東出浩教さん

早稲田大学大学院商学研究科
教授

早稲田大学ビジネススクール(MBA)でアントレプレナーシップ(起業家精神)などの講座を担当されている東出教授。ロンドン大学インペリアルカレッジでベンチャー企業の研究に取り組みPh.D.(博士号)を取得されるなど国内におけるベンチャーや起業家研究の第一人者です。その一方でベンチャー企業の育成にも携わり、実務面でも目覚ましい活躍をされています。今回は、特にMBA、Ph.D.時代に学んだことについてお聞きしました。

パクらない人生

私は大学卒業後、大手建設会社に入社しました。その頃の自分は、振り返ればエリート意識のようなものも強く、「自分はできる」と思っている「イヤな奴」な面もあったと思います。

転機となったのは、ロンドン大学インペリアルカレッジのMBAとPh.D.に行ってから。そこでは、クラスでもパーティーでも、例えば単に「あの論文にはこう書いてあった」と言うだけでは全く評価されない。むしろ卑下されてしまう。ではなく、「あの論文とこの論文の書いてあることを組み合わせると、こういうコトが言えると自分は思う」くらいは、少なくとも言わないと評価されない世界でした。

受け売りではなく、自分の言葉で自分が心の中から思っているオリジナルなことを言わない限り、大人扱いされない。そんな状況に身を置く内に、出世のような社会的な評価ではなく、「自分の心に従って生きよう」「パクらない人生を生きよう」と心に決めました。

001東出②

 

違いを認める

この考えのベースとなった経験は他にもあります。ロンドンという土地柄、いろいろな人種の人と交流できたこと。また、隣にアート大学院(絵、写真など)が併設されていたので、様々なアーティストと知り合う機会もありました。 そこは、「絵はものすごく上手で才能豊かだけど、論理は滅茶苦茶」などの一芸に秀でた個性的な人たちが集まる世界。同質性が重視され、違いを排除する傾向の強い日本で教育を受けてきたので当初は戸惑いました。

ただ、交流を深める内に考えが一変し、違いを認められるようになったのです。 「違いを認められないと幸せになれない」という研究結果もあります。JSミルがいう「危害さえ加えなければ自分勝手でもいい」。そんな意識がロンドンでの生活で芽生えたことも今の自分を形づくるきっかけとなりました。

001東出③

 

現実を直視し、振り返り、理論に返るのがプロの学び

ロンドンに行ったことで学びのスタイルも変わりました。学びの一番のもとは「現実を直視すること」「目の前の現象を否定しないこと」。世の中では、都合よく解釈するため現実を見ようしない人が多くいます。「過去に起こったことが正しい」と新しい変化を見ようとしない。ただ、少しでも例外があれば「あの常識はおかしいのでは?」と疑うことも必要です。

そしてデータを集め、「いま何が起こっている?」「それをどう利用する?」と考え、行動していくのです。行動した後は結果を振り返ることが大事です。それを英語でreflectionといいます。見つめ直す時間を持つのが英国での学びの伝統です。それから文献や理論を取り入れて、自分なりに再構築し、また実行に移す。これが知性ある大人(プロ)になる学びのプロセスです。これを学べたこともロンドン時代の大きな成果です。

001東出④

起点はすべて自分

私はよく妄想をします。「あーなるといいな、こうなると楽しくなるな」などなど。今は「もっと一人一人が自由に生きられる世の中になると、みんながハッピーになるのに」と思ったりしています。自由とは「自分の心に従って生きること」。それには、「自分とは何か?」「自分はこれをしたい」と自分のことがわかっている必要があり、「自分の内部との対話」が欠かせません。

その意味では、日本にはとても良い素材があります。例えば「瞑想」や「禅」です。いわば右脳を重視する考え方です。話は飛びますが、ある脳科学者が「自分自身が脳梗塞になり、右脳だけで考えていたときが一番幸せだった」と話しています。「自分と世界が一体となる感覚だった」とのこと。ある意味、ジョンレノンのイマジンの世界かもしれません。みんなが一つになり、ハッピーになる。そんな世界を妄想しています。

これまでに「パクらない人生」「違いを認める」「振り返り(reflection)」などを話してきました。共通していることは「起点は自分」ということ。そして日本には素材はある。それを自分なりに構築して世界に向けて発信する。これがいま、私がやりたいことです。

001東出⑤

プロフィール

1985年慶應義塾大学経済学部卒業後、鹿島建設入社。建設JVのマネジメントや欧州各国における不動産投資の実務に従事。1991年ロンドン大学インペリアルカレッジ修士課程修了(MBA)。2000年同カレッジにて日本で初めてベンチャー研究におけるPh.D.(博士号)を取得。2002年早稲田大学大学院アジア太平洋研究科助教授。2006年より現職。2013年日本ベンチャー学会副会長に就任。著著に「ディシジョンメイキング (起業家育成プロジェクトPart1)」(共著、ワンプルーフ)などがある。

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